駒落ち定跡への疑問
前回の考察文でも書いたとおり、僕は駒落ち大好きだし、
駒落ちの定跡を調べるのも好きである
ただ、調べてみると、あれ?なんだこれ?と思うものも結構ある
その理由は2つあって、
1.定跡が古く、洗練されてないから
駒落ち定跡といわれるものの多くは、昭和3年初版の将棋大観に書かれているものを指す。
平手の定跡であれば、昼夜を問わないプロ・アマの膨大な研究・実戦によって、
改良・洗練されていくが、駒落ち定跡はいまだに昭和3年の・・・
2.将棋の道理、棋理に反しており、成立しないことが多い手だが、
その局面において例外的に成立する絶妙手があるから
今回は、この2について考察してみたい
早速だが、上記の1図と2図では、下手はどちらが勝ちやすいであろうか?
ちょっと考えてみてほしい・・・
個人的な意見では、定跡を知らない下手ならば、1図と2図は同じくらいの勝ちやすさ
ただし下手が、定跡の教える手、普通のアマには絶対思いつかないであろう
一連の手順を知っていれば、2図は実は相当勝ちやすい
もし僕が下手で、適正な手合い差の相手ならば、この対局もらったとさえ思っている局面なのだ
その手順とは、▲11歩成り〜▲12歩〜▲11歩成り〜▲12銀打ちである
(手順を別ウインドウで再現する)
この手順いかがであろうか?
貴重な銀をものすごいそっぽに打つのだから、非常に筋は悪い。
こんな筋が成立する状況というのは、寡聞ながら僕は、この局面でしか見たことがない
確かに、手順を再現すればわかるとおり(?)、本局面から
下手が単純に勝つことを目標とするならば、この定跡は非常に役立つ
しかしだ。駒落ちを指す意義の一つは、正しい棋理を学んで、上達することにあるはずだ。
だとすると、あくまで勝ちに徹底し、その応用範囲の少ない本定跡手順を利用することに、
どれだけの意味があるのだろうか?
・参考文献 駒落ち定跡 所司和晴 日本将棋連盟
(後日、加筆修正予定)